(有)アクティア代表 松村 敦子 ◆ 義母(お母さん)の介護が製品づくりの原点 「リーダーシップが どこで身についたのですか」とよく尋ねられます。 若いころから私は、いつも何か目標を持って挑戦するのが好きだったので、気の合う仲間に呼びかけ、一緒に力をあわせて ともに達成感を分かち合うのが好きでした。 結婚前の一年間は、中学校で家庭科の先生をしていましたが、結婚してからの20年あまりは専業主婦でした。 その間、ボランティアや町内会、PTAの世話役を進んで引き受けるなど、地域と かかわった生活でした。 そんな頃、同居していた義母(以下、「母」という)がガンで倒れました。 「嫁・姑の関係」は(実母と娘のように)大変 仲が良かったので、抗がん剤治療で『脱毛』して悲しむ母を見たときには、それは それはとても辛い思いでした。 ですから私は、母が愛用していた色のきれいなスカーフを使って、母専用の お帽子を手作りしてみました。 そんな折、医療の実態を研究するNPOから、「衣」「食」「住」に関する患者アンケートの結果を国際モダンホスピタルショウで発表する際に使う、患者のニーズを反映した「衣」を試作して欲しいという依頼がきました。 私は、それに協力して、患者用の帽子とパジャマ一式を制作しました。 すると医療従事者ばかりか、一般消費者である患者や その家族から問合せが殺到しました。 そんな反響に 引くに引けなくなり、2005年、大阪府のベンチャー支援制度(テイクオフ大阪21)の認定を受け起業しました。 府の認定事業となれば、いろんな場で信用されますし、銀行の支店長が関連病院の売店を「バンダナ帽」の売り先として、推薦紹介してくれるような心強いメリットもありました。 そんな反面、創業したばかりの初期の頃は、何もかもを自分ひとりで せねばならず、会社の形態を整えることに時間をとられ それに精一杯で、商品開発と営業活動に じゅうぶん注力できない辛い期間も ありました。 今では、右腕となってくれる女性ブレーン(社員)が現れてくれ、ほかに3人のパートとともに事業を進めています。 現在までを振りかえってみると、「人との繋がり」が 次々と新たなチャレンジの場が巡ってきて今に至っていると思います。 一般に、ものづくりは「作って幾ら」「売れて なんぼの儲け」という採算ベースに事が運ばれるものですが、私の場合は、必要とする人に必要とされるものを お届けする‘お手伝い役’に徹して事業をすすめています。 このような姿勢でおりますから自然と、共感の連鎖が生まれてきたように思います。 今後も「バンダナ帽」で得られた利益は、次なる商品開発・研究開発費として、また顧客満足アップに充てていきたいと思っています。 主力商品「バンダナ帽」は、現在アメリカの大型病院の売店7ヶ所で販売しています。 今後も留ることなく社会貢献事業として ゆっくり じっくり広めて行きたいと思っています。 また、いつの日にか「バンダナ帽」基金を つくることも夢に描いています。 −以下 省略−
インタビュー者(取材側)先生の ご紹介 ◆ 田中 睦美 教授 同志社大学大学院 社会学研究科博士課程前期終了(修士) 東大阪市立男女共同参画センター専門員 主な著書:『共生型まちづくりの構想と現実』 ◆ 筒井 清子 教授 大阪大学大学院経済研究科博士課程単位習得退学 京都産業大学名誉教授 東大阪市立男女共同参画センターディレクター 主な書著:『グローバル時代の女性雇用』 |