週刊がん もっといい日
2006年Vol.26
9月22日更新


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がんの予防、治療、再発防止に役立つ
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☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.26☆☆☆


松村敦子(まつむら・あつこ)さん
ここにこの人

「お義母さんを喜ばせたい」。
ピュアな想いでつくった帽子が、
多くの患者さんに愛されるakko「バンダナ帽」の原点

プロフィール
松村敦子(まつむら・あつこ) 
京都女子大学短期大学部家政科卒。
中学校講師(家庭科)、結婚、女児出産を経て主婦業専念。
2002年、夫が手がける(株)メディサイト入社。
経理や事務等を行う傍ら、アンケートによる声を生かした「あったか心」のモノづくりを開始。
関西ベンチャー学会会員、ユニバーサルファッション協会会員。
抗がん剤の副作用で髪の毛が抜け落ちてしまった、大好きな義母のために作ったバンダナ帽子。 やがて同じ悩みを持つ患者さんたちも愛用するようになり、今では、「もっと早くバンダナ帽に出会いたかったです」 「ソフトなかぶり心地に大変満足しています」「病室のみんなで購入しました。かぶり心地良好です」等々、 「バンダナ帽」を手がける有限会社アクティアには、毎日たくさんのメッセージが届きます。 代表を務めるのは、義母をがんで亡くした松村敦子さん。「バンダナ帽」は、どのように誕生し、多くの脱毛に苦しむがん患者さんに 愛されるようになったのでしょうか。敦子さんに伺いました。

義母のために作った帽子が
akko「バンダナ帽」のはじまり


10年ほど前、敦子さんの一番の理解者であった義母が、尿管がんと宣告されました。
「実の母のように慕っていただけに、とてもショックでした。闘病が始まってからは、抗がん剤の副作用で義母の髪の毛が抜け落ちてしまって…。その様子を見て、なんとか義母に喜んでもらおうと、帽子を手作りしたんです」(敦子さん)
 中学校で、家庭科の先生をしていたこともある敦子さん。得意の裁縫を活かし作り上げた義母のための帽子は、手先が不自由でも簡単に自分で大きさが調整できるもので、これが後の「バンダナ帽」の原型となったのです。
一方、ちょうどその頃、敦子さんの友人でHCRM研究会(現ヘルスケアリレーションズ)の理事長を務める和田ちひろさんが、入院患者を対象にした「衣」「食」「住」の大規模アンケートを実施しました。
そのアンケート結果に基づき、工夫をこらした帽子を含めたパジャマ一式の試作品づくりを頼まれた敦子さんは、2003年、患者さんの声を反映した“快適な工夫パジャマ”を製作。その試作品を、医療用品の展示会で発表したところ、来場者から「どこに売っているの」と、思わぬ反響があったのです。
それからというもの、医療コンサルタントを業とする敦子さんのご主人の会社に、コンサルタントとはまったく関係のない、パジャマの問い合わせがくるようになりました。
「再び別の展示会で試作品を展示したところ、その手ごたえに、引くに引けない状況になって、商品化を目指すことに決めたのです」
こうして敦子さんは、周囲の反響に後押しされ、ご主人の会社内に「アクティア(アクティブな気持ち 優しく応援したいウェア)事業部」を立ち上げ、帽子に商品を絞り販売することにしました。
帽子の作成にあたっては、かつて義母のために作ったものを原型とし、各病院や患者会に出向き、モニター調査を繰り返しながら、改良を重ねていきました。こうしてでき上がったのが、akko「バンダナ帽」です。



akko「バンダナ帽」
出荷時には「頼むよ」と
帽子一つひとつに気合

 患者さんの声をもとに作られた「バンダナ帽」には、ファッション性はもとより、利用者の視点から考えられた配慮が随所にほどこされています。
「抗がん剤により爪が弱ったり、手が不自由になったりしている人でも簡単にかぶれ、自在に大きさが調整できるよう、ワンタッチで頭にフィットする仕組みになっています。また4本のタックがあるので、脱毛時のツルツルした頭でも、立体的に見せることができます」と話す敦子さん。
 さらに前側を伸ばせば、眉毛・まつげの脱毛時にも、目元をさりげなくカモフラージュすることもできます。素材には、「着る健康」で知られるキチンキトサン(カニの甲羅から抽出した機能性素材)入りの繊維を使用し、肌への優しさに加え、抗菌・防臭効果を実現しました。

この患者さんの視点を盛り込んだ多機能な「バンダナ帽」は、現在、関西地方の大手医療機関や静岡がんセンターの売店で売られているほか、ネット上での販売を通し、多くの患者さんの手元へ届いています。
「商品の代金を振り込む際、多くの方が“バンダナ帽を送ってくれてありがとう”とメッセージを書いてくれるんですよ」と、顔をほころばせ敦子さんは語ります。なかには、おお礼のためだけに電話をくれる利用者もいるそうです。
 梅田の阪急百貨店の介護用品売り場では、「バンダナ帽」の良さを理解してくれる店員さんが、「販売はプロに任せて」と、率先してバンダナ帽を勧めてくれるのだとか。
こんなにも「バンダナ帽」ファンが多い理由はなぜでしょうか。その答えは、次の敦子さんの言葉に集約されています。
「皆さんが喜んでくださるのは、本当にありがたいことです。でも私自身は、商いに走るつもりはありません。もちろんビジネスとしては、ある程度売れなければ成り立ちませんが、将来、脱毛しない抗がん剤が開発され、患者さんにとって被り物が必要でなくなったら、むしろそのほうが喜ばしいこと。今、困っている方に、この帽子が届けばそれでいいんです」
 大好きな義母を喜ばせたいという想いから、帽子作りを始めたのが敦子さんの原点。このピュアな想いは、義母が亡くなった今も一つひとつの帽子に込められ、帽子とともに患者さんの手元に届けられてきました。もちろん、新商品の開発は常に、患者さんの声に基づいて行われます。
「先日も、“再入院までに帽子が届いたから、頑張れます”というメッセージが届いたんですよ。別に、おまじないなんて信じているわけではありません。でも、この帽子を通して、生きる力を与えられているような気がするんです。お義母さんも応援してくれているのかな・・・」
敦子さんが出荷準備をするときは、必ず「頼むよ」と、帽子一つひとつに気合を入れているそうです。割れ物ではないのに、「大事に扱ってね」と、宅配業者に声をかけることも忘れません。
 こうして、「あったか心」を届けたいと、「akko」というブランド名をつけられた「バンダナ帽」は、今日も敦子さんの想いを乗せ、多くの患者さんへ届けられています。


●akko「バンダナ帽」の詳細はHPをご覧ください。
URL:http://www.actia.jp
フリーダイヤル:0120-096-877


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