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「あったか心」でバンダナ帽

 抗がん剤投与の副作用により頭髪が抜けることは、患者にとって何より辛いこと。 アクティアの松村敦子代表は、そんな療養中の人たちが少しでも快適に、気持ちを明るく過ごせるよう機能性 とおしゃれなデザインを両立させたバンダナタイプの帽子を開発し、より多くの人に届けるため起業に踏み切った。
(那須慎一)

 商品化した「akko『バンダナ帽』」は、頭の後ろ側のしっぽを軽く引っ張るだけで、頭髪がなくても脱げないサイズに 大きさを自在にコントロールできる点で実用新案を得ている。

 さらに、四本のタックづかいで、頭髪のない扁平頭を立体的に見せるための工夫や、まゆ毛やまつ毛の脱毛時も目元まで 自然に隠せるようにするなど、「患者の声をそのまま形にした」点が使用者の心をつかみ、販売も好調だ。 商品につけているakkoマークは、名前の敦子と、「あったか心」という意味から名付けた。

義母のがんを機に

 短大卒業後、一年間中学校で家庭科の非常勤講師を務め、結婚して専業主婦に。
 しかし、夫が開業医のコンサルティングで起業することになり、「パソコンも初めてで、帳面付けも苦手だった」 ものの手伝うことになった。

わたし起業しました

 時をほぼ同じくして、「女優の八千草薫さんのような魅力的な女性で、ソウルメートのような間柄だった」という義母が 尿管がんを発病してしまう。その後、入退院の繰り返しに。「きれいだった義母の髪の毛が抜けるとは夢にも思わなかった」

 その辛い部分を補うため、空いた時間に、義母が持っていたスカーフの使い古しを用いて、簡単に結わえる帽子を手作りして あげたことが、現在の事業の原型となっている。

 そんなとき、医療や福祉に関する調査事業などを行うHCRM研究会=現・NPO法人(特定非営利活動法人)ヘルスケアリレー ションズ=の和田ちひろ理事長と出会う。情報交換を進めるうちに、入院患者が助かるような工夫を凝らしたパジャマの 試作品の製作を頼まれ協力することになった。 2003年の国際モダンホスピタルショウで展示したところ、高い関心を集め、「こうした商品のニーズのあまりの高さに、 引くに引けなくなってしまいました」。

 夫の会社内にアクティア事業部として友人などとボランティアの主婦グループを作り、規模を拡大した。
 その事業が大阪府から社会貢献度の高い活動として資金援助が得られる「テイクオフ大阪21」認定者に合格したことで、 会社設立を決意。バンダナ帽を中心とする商品の開発、販売に踏み切る。

「普段着」の装いも

 起業後は、直販やインターネットだけでなく、自ら積極的に営業し、阪急百貨店本店(大阪市北区)の介護用品売り場や、 住友病院(大阪市北区)の売店などに販路を拡大している。

 「実は、ゴルフ場でも販売しているんです」というように、病院内での使用だけでなく、機能的でおしゃれな点を前面に 出し、日焼けが気になるスポーツシーンをはじめ、普段にも使ってもらうための提案も強化していく考えだ。

 ビジネス拡大のため、akkoブランドで他のアイテムを増やしたらといったアドバイスも受けるが、「バンダナ帽の研究、 開発に集中し、さらに進化させたい」ときっぱり。

 今は、バンダナ帽の認知度アップに東奔西走の忙しさ。そんな中でも、おしとやかな琴、情熱的なサルサダンスといった 対照的な趣味をもつ意外な一面も。気分転換に役立っているという。